2026年税制改正で何が変わる?中小企業向け重要ポイント5選

2026年の税制改正では、中小企業に関係する改正が複数あります。特に確認しておきたいのは、設備投資、賃上げ、少額資産の経費処理、年収の壁対応、インボイス見直しの5点です。
今回の改正は、単なる節税論点ではありません。資金繰り、人材確保、給与計算、消費税実務に直結するため、2026年中に準備しておく価値があります。
1. 大型設備投資に新しい優遇措置(特定生産性向上設備等投資促進税制)
中小企業向けでは、一定の大型設備投資について、即時償却または税額控除7%(建物等は4%)を選べる新制度が創設されます。
対象となるのは、中小企業者等で投資額合計5億円以上、かつ投資計画の年平均投資利益率が15%以上と見込まれる計画などで、経済産業大臣の確認が必要です。
このため、工場設備、機械、ソフトウェア、建物附属設備などで大きな更新を予定している会社は、投資時期を含めて再検討する余地があります。
数字で言うと、税額控除は7%、建物等は4%、法人税額の20%が上限で、一定の場合は超過額の3年繰越も認められます。
2. 賃上げ促進税制は「中小企業重視」に再編
2026年改正では、賃上げ促進税制の大企業向け措置は2026年3月31日で廃止され、中小企業向け措置は継続されます。
その一方で、教育訓練費に係る上乗せ措置は廃止されるため、従来と同じ感覚で控除額を見込むのは危険です。
中小企業にとっては追い風といえますが、自社が「中小企業者等」に該当するかの判定は事前確認が必要です。
実務では、2026年4月1日以後開始事業年度からの適用時期を踏まえ、賃上げ計画と税額控除見込みをセットで試算しておくのが安全です。
3. 少額減価償却資産の上限が40万円未満へ
中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例は、取得価額基準が30万円未満から40万円未満へ引き上げられます。
年間合計の限度額300万円は維持されるため、無制限に使えるわけではありません。
この改正は、パソコン、サーバー、周辺機器、什器備品などを買う会社には使いやすい内容です。
30万円以上40万円未満の資産購入を予定しているなら、取得時期次第で一括経費化しやすくなる可能性があります。
4. 「年収の壁」見直しで人手不足対応に影響
所得税の基礎控除は4万円引き上げられ、給与所得控除の最低保障額も65万円から69万円へ見直されます。
さらに、令和8年分・令和9年分の時限措置として、課税最低限は178万円まで特例的に引き上げられます。
中小企業にとって重要なのは、パート・アルバイトの就業調整に影響する点です。
ただし、給与等の源泉徴収は2026年中は従来どおりで、年末調整からの適用とされているため、給与計算ソフトや社内周知は前倒しで準備すべきです。
5. インボイス経過措置が2026年10月から変わる
免税事業者からの仕入れに係る経過措置は、2026年10月から控除割合が70%、2028年10月から50%、2030年10月から2031年9月末までは30%へ段階的に縮小されます。
あわせて、1免税事業者ごとの年間適用上限仕入額は10億円から1億円へ引き下げられます。
外注先や小規模取引先に免税事業者が多い会社では、仕入税額控除の減少がそのまま利益圧迫要因になります。
2026年10月は会計処理の切替点になるため、取引先の登録状況確認、請求書運用の見直し、会計システム設定の更新が必要です。
中小企業が今やるべき対応
2026年5月時点での実務対応は、次の5つが優先です。
- 設備投資計画があるなら、5億円以上の新税制の対象になるか確認する。
- 賃上げ予定があるなら、中小企業向け税制の適用可否と控除額を試算する。
- 30万円超40万円未満の資産購入予定を洗い出す。
- パート・アルバイトの年収管理と年末調整対応を見直す。
- 免税事業者との取引額を確認し、2026年10月のインボイス改正に備える。
2026年改正は、使える優遇と手間が増える改正が混在しています。
そのため、「制度を知っているか」よりも、「自社に関係する数字と時期を先に押さえるか」で差が出ます。
特に、賃上げ税制は、利益が出ている会社や個人事業では、決算報告の際、経営者様から大きな反響をもらうことが多いです。
利益が出て、税金を支払うならば、決算賞与などで、従業員へ還元し、モチベーションを上げつつ、かつ、節税もできるというのは、経営者にとっては特に魅力的なようです。
平成26年3月期から始まった賃上げ税制は、当時は所得拡大促進税制という名称でした。当時は計算が複雑でしたが、景気回復の一助を担う制度でもあり、毎年、制度が緩和、拡充されて、今に至ります。利益が出そうな場合は、ぜひ、従業員への給与額の増加をお考え下さい。


