小さな会社の節税アイデア|まず見直したい5つのポイント

小さな会社の節税は「裏ワザ」より「基本の見直し」が大切
会社を経営していると、決算が近づくたびに、
「何か節税できる方法はないか」
「利益が出そうなので、税金を少しでも抑えたい」
「今の経費処理で問題ないのか不安」
と感じることがあります。
ただし、小さな会社の節税で大切なのは、特別な裏ワザを探すことではありません。
大切なのは、会社の実態に合った方法で、無理なく、継続的に税負担を整えることです。
無理な節税は、かえって資金繰りを悪くしたり、税務調査で問題になったりすることがあります。
一方で、基本的なポイントを押さえておくだけでも、結果として税金の払いすぎを防げることがあります。
この記事では、小さな会社がまず見直したい節税アイデアを5つ紹介します。
1. 役員報酬は「なんとなく」決めない
小さな会社では、社長の役員報酬が会社の利益に大きく影響します。
役員報酬を高くすれば会社の利益は減りますが、社長個人の所得税や住民税、社会保険料が増える可能性があります。
逆に役員報酬を低くしすぎると、会社に利益が残り、法人税等の負担が大きくなることがあります。
つまり、役員報酬は会社と個人の両方を見ながら決める必要があります。
特に注意したいのは、役員報酬は原則として事業年度の途中で自由に変更しにくい点です。
法人が役員に支給する給与は、原則として「定期同額給与」「事前確定届出給与」など、税務上の要件を満たす必要があります。要件を満たさない役員給与は、会社の損金に算入できない場合があります。
そのため、決算が近づいてから「利益が出そうだから役員報酬を増やそう」と考えても、税務上認められないことがあります。
役員報酬は、決算後の早い段階で、年間利益の見込み、社長個人の生活費、所得税、住民税、社会保険料も含めて検討しておくことが重要です。
出典:国税庁タックスアンサー No.5211「役員に対する給与」
2. 経費になるものを正しく整理する
節税というと「何かを買う」ことを思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、その前に大切なのは、すでに支払っているものの中で、会社の経費として正しく処理できているかを確認することです。
たとえば、次のような支出は、内容によっては経費になる可能性があります。
- 事業用のスマートフォン代
- パソコン、ソフトウェア、クラウドサービス利用料
- ホームページ制作費、広告費
- 打ち合わせに使った飲食代
- 車両関連費
- 事業に関係する書籍、研修費、セミナー代
ただし、何でも経費にできるわけではありません。
ポイントは、その支出が事業に必要なものか、売上高に貢献しているかどうかです。
また、個人的な支出と会社の支出が混ざりやすいものは、使用割合や目的を説明できるようにしておくことが大切です。
領収書や請求書を残すだけでなく、「何のために使ったのか」が後から分かる状態にしておくと安心です。
3. 交際費は「記録の残し方」で差が出る
小さな会社では、取引先との飲食や打ち合わせが発生することがあります。
交際費については、原則として全額が損金不算入とされていますが、法人の区分に応じて一定の措置が設けられています。
たとえば、資本金1億円以下の中小法人などの場合、年800万円までの定額控除限度額、または接待飲食費の50%損金算入(資本金100億円以下の法人)を選択できる制度があります。
また、令和6年4月1日以後に支出する一定の飲食費については、1人当たり10,000円以下で、必要事項を記載した書類を保存している場合、交際費等の範囲から除かれる取り扱いがあります。なお、令和6年3月31日以前の支出については、基準額は1人当たり5,000円以下でした。
ここで大切なのは、金額だけではありません。
飲食代を経費として処理する場合は、次のような情報を残しておくことが重要です。
- 飲食をした日
- 参加した相手の氏名や会社名
- 参加人数
- 飲食店の名称
- 仕事との関係
領収書だけでは、後から内容が分からなくなることがあります。
「誰と、何の目的で使った費用なのか」を残しておくことで、税務上の説明もしやすくなります。
出典:国税庁タックスアンサー No.5265「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」
4. 設備投資は税制優遇の対象になることがある
会社で機械、車両、ソフトウェア、システムなどを導入する場合、内容によっては税制優遇を受けられる可能性があります。
たとえば、中小企業投資促進税制では、青色申告書を提出する中小企業者等が、対象設備を取得して指定事業に使った場合、特別償却または税額控除を受けられる制度があります。適用期限は、令和9年3月31日までとされています。
また、中小企業経営強化税制では、認定を受けた経営力向上計画に基づき対象設備を取得した場合、即時償却または税額控除を選択できる制度があります。こちらも適用期限は令和9年3月31日までとされています。
ただし、こうした制度は、あとから思いついて簡単に使えるとは限りません。
対象設備には、設備の種類や取得価額、事業の内容などの要件があります。たとえば、最低取得価額が30万円以上など、設備ごとに金額要件が設けられている場合があります。
また、制度によっては、設備の取得前に証明書や確認書、経営力向上計画の認定などの手続きが必要になることがあります。
そのため、大きな設備投資を考えている場合は、購入前に税理士へ相談することをおすすめします。
「買ってから相談」では間に合わないことがあります。
出典:国税庁タックスアンサー No.5433「中小企業投資促進税制」
出典:中小企業庁「中小企業経営強化税制」
5. 賃上げをするなら税制も確認する
従業員の給与を上げる場合、賃上げ促進税制の対象になる可能性があります。
中小企業向けの賃上げ促進税制は、令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度が対象とされています。
この制度では、前年度と比べて給与等支給額が一定割合以上増加していることなどが要件になります。中小企業の場合、たとえば前年度比で1.5%以上の賃上げが一つの基準になります。
もちろん、賃上げは節税のためだけに行うものではありません。
しかし、人材確保や定着のために給与を見直すのであれば、税制面の優遇を受けられるかどうかも確認しておく価値があります。
特に小さな会社では、人件費の増加は資金繰りに大きく影響します。
税制の活用だけでなく、今後の売上見込み、固定費、社会保険料の負担も含めて考えることが大切です。
出典:国税庁タックスアンサー No.5927-2「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」
出典:中小企業庁「賃上げ促進税制」
決算直前の節税には限界がある
節税の相談は、決算直前に増える傾向があります。
もちろん、決算直前でもできる対策はあります。
しかし、できることには限りがあります。
本当に効果的な節税を考えるなら、決算の数か月前から利益予測を行い、役員報酬、設備投資、人件費、経費の使い方を整理しておくことが大切です。
特に小さな会社では、税金だけを見て判断すると、かえって手元資金が減ってしまうことがあります。
節税は「税金を減らすこと」だけが目的ではありません。
会社に必要なお金を残し、次の事業活動に使える状態をつくることが本来の目的です。
まとめ|小さな会社の節税は、早めの相談が一番の対策
小さな会社が取り組みやすい節税アイデアには、次のようなものがあります。
- 役員報酬を会社と個人の両面から見直す
- 経費になるものを正しく整理する
- 交際費は内容が分かるように記録する
- 設備投資は購入前に税制優遇を確認する
- 賃上げをする場合は税制の対象になるか確認する
どれも特別な裏ワザではありません。
しかし、こうした基本をきちんと押さえておくことで、税金の払いすぎを防ぎ、会社のお金の流れを整えることにつながります。
周参見税理士事務所では、大阪市中央区・谷町四丁目を中心に、小さな会社の税務相談、決算対策、節税のご相談を承っております。
「今年は利益が出そう」
「役員報酬をどう決めればよいか分からない」
「設備投資を考えている」
「経費処理に不安がある」
このような場合は、決算直前ではなく、できるだけ早い段階でご相談ください。
大阪市中央区・谷町四丁目周辺で税理士をお探しの方は、お気軽にお問い合わせください。オンラインでのご相談にも対応しております。
会社の状況に合わせて、無理のない節税対策を一緒に考えてまいります。
この記事の注意点
この記事は、令和8年6月1日時点で確認できる公的情報をもとに、一般的な税務情報として作成しています。
税制は改正されることがあり、会社の規模、業種、決算期、資本金、青色申告の有無、設備の内容などによって取り扱いが変わります。
この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の判断については税理士等の専門家にご相談ください。

